十国春秋卷四十二 列傳 仲廷預

仲廷預

  • 仲廷預は、どの郡県の人か詳しくは分からない。古典に精通していたが、生業には努めず、常に飢寒に苦しんでいた。嘉王王宗寿の塾の師となったが、宗寿にはあまり礼遇されなかった。折しも寒い時期に、嘉王の王府がもとの火器(暖房具)を学院に給わったが、廷預がひとり座っていたとき、たまたま箸で灰を掻いていて金の火箸二本を見つけた。急いで宗寿に面会を求めたが、宗寿は他に何か求めがあるのだろうと思い、すぐには会わなかった。廷預がなお強く求めたので、ようやく会うことにすると、廷預は袖の中から金の火箸を取り出し、事の次第を詳しく述べた。宗寿は「わが家がこれを失って十年ほどになる。あなたはこれを得ながらもこうして返してくれた、まことに古人の心を持つ人だ」と言い、厚く贈り物を与えるよう命じ、まもなく推挙して榮州録事参軍に任じた。