十国春秋卷四十一 列傳 潘岏

潘岏

  • 潘岏は蜀の人で、博学にして議論に長じ、風采がよかった。高祖が西川を鎮していたとき、押牙に任じられた。天復元年、東平王朱全忠が初めて四鎮を兼ねたとき、高祖は岏を遣わして訪問させ、両者の誼を通じさせた。岏は汴州に至ると、言葉遣いが婉曲で、酒を一石飲んでも乱れることがなく、酒を過ごすほどにかえって礼容が荘重になった。全忠はこれを愛し、酒がまわったところで岏に「押牙殿はなお豪快に飲めるか」と言うと、岏は謝して「とてもできません」と答えた。全忠はそこで席上に叵羅(大杯)や尊罍(酒器)を並べ、次々に注いで飲ませたが、岏は一気に飲み干し、ますます穏やかで落ち着いた様子であった。全忠はそれらの器物を岏に賜り、館に帰ればさぞ酔いつぶれているだろうと思って人を遣わし様子をうかがわせたところ、岏はちょうど筍籜(たけのこの皮)の冠をかぶり、もらった酒器をゆっくりと整理し、洗って仕舞い込んでいるところであった。当時、これを「雅量」と称した。