十国春秋卷三十八 前蜀四 列傳 昭儀李氏

昭儀李氏(李玉簫)

  • 昭儀李氏は名を舜弦といい、梓州の人である。ひどく辞藻(文才)に長け、後主は立てて昭儀とした。世に李舜弦夫人と称された。著すところの『蜀宮応制詩』『随駕詩』『釣魚不得詩』などの諸篇は多く文人に鑑賞された。同時代の宮人李玉簫は寵幸が舜弦に亜ぐものであった。後主はかつて近臣を宣華苑に宴したとき、玉簫に自ら撰した「月華如水宮詞」を歌わせ嘉王宗寿の酒を侑(すす)めさせたが、声音は委婉抑揚として度に合い、一座は傾倒しない者はなかった。宗寿は禍を懼れてこれもまた盃を尽くした(詞にいう。輝輝赤赤として五雲浮かぶ。宣華池上、月華新たなり。月華は水の如く宮殿を浸す。酒有りて酔わざるは真の癡人なり)。