十国春秋卷三十三 南唐十九 列傳 僧深

彩か剣かの禅問答

  • 僧深は金陵に居して説法した。元宗は常に彩(絹布)一篋と剣一具を置いて、深と文益に「高座(説法の座)で問答が当たれば雑綵を賜り、そうでなければ剣を賜る」と言った。文益が座に登ると、深は「今日は勅を奉じてお尋ねいたしますが、師はお許しいただけますか」と言った。文益は「許す」と言った。深は「鷂子(鷂)は新羅を過ぎる」(一瞬にして機を捉える禅の比喩)と言い、彩を捧げてそのまま去った。
  • ある日、智明とともに淮水を過ぎたとき、漁師が網を張っているのを見て、網から出てくる魚がいた。深は「これはまさしく衲僧に似ている」と言った。智明は「どうして最初から網羅に入らないのに及ぼうか」と言った。深は「あなたは少し悟りましたね」と言った。智明は夜半になってようやく悟った。