十国春秋卷三十二 南唐十八 列傳 呉廷紹
名医の診立て
- 呉廷紹は太医令であった。烈祖が飴を食べて喉に詰まらせたとき、国医はみな治療することができなかった。廷紹はまだ名を知られていなかったが、独り「楮実湯を用いるべきだ」と言い、一服を進めると病はたちまち去った。馮延巳は脳中の痛みに苦しみ、数日治まらなかったので、廷紹はひそかに厨人に問うて「相公は平生何を好んで食べておられるか」と尋ねると、「多くは山鶏・鷓鴣を食べておられます」と答えた。廷紹は「私にはわかった」と言い、甘豆湯を投じると、これも治った。多くの医者はひそかにこれを記憶し、後日この処方を用いたが多くは効かなかった。ある者がその理由を尋ねると、廷紹は答えて「喉の詰まりは甘い物によって起こるので、楮実湯でこれを治した。山鶏や鷓鴣はみな烏頭・半夏を食べるので、甘豆湯でその毒を解いたのだ」と言った。聞く者は大いに感服した。