十国春秋卷二十九 南唐十五 列傳 鄭元素
昭陵の秘宝
- 鄭元素は華原の人である。若くして詩礼を習い、乱を避けて南奔し、廬山の青牛谷に隠居すること四十余年、樵蘇(薪水の労)を絶っても炊事に窮せず、弦歌は自若としていた。舎の後ろに一室を構え、古書千余巻を集め会し、そのままその身を終えた。
- 元素は温韜の甥である。自ら語るには、韜は昭陵を発(あば)き、羨道(墓道)を通って下ると、宮室は宏麗で人間界と異ならず、中は正寝となっており、東西に石牀を列ね、牀上の石函の中に鉄匣があり、悉く前代の図書および鍾繇・王羲之の墨蹟を蔵していた。韜はこれをことごとく取った。韜が死んで元素はこれを得ることが多かった。