封神演義首陽山にて夷斉、兵を阻む(第六十八回 首陽山夷齊阻兵)
(詩:首陽山の隠士の志節を、義士の鑑として讃える趣旨)
清虚道徳真君と懼留孫の偈
- 黄天化の行く末を問われた清虚道徳真君は、真実を告げれば動揺し、隠せば陥ることを恐れ、思案の末に暗示の偈を授けるにとどめる。土行孫も懼留孫に同様に尋ね、危うさを暗示する偈を授けられる。
点将と出征準備
- 諸仙と別れた子牙は西岐城に戻り、武王に出師の上表を奉る。武王はこれを許し、宴を賜る。
- 教軍場で子牙は点将を行う。先鋒に南宮适・武吉・哪吒・黄天化の四将を、くじ引きで頭隊・左右哨・後哨に配し、楊戩・土行孫・鄭倫を糧運の頭・二・三運に任じる。黄飛虎ら宗室・八俊・帰順した諸将・女将(龍吉公主・鄧嬋玉)らを含む六十万の軍が整えられる。
- 十種の陣法(一字長蛇陣ほか)を演習させ、黄飛虎・鄧九公・洪錦に一字長蛇陣から六甲迷魂陣への変陣を試させるが揃わず、子牙は厳しく訓戒し、日々の鍛錬を命じる。
- 武王は内政を散宜生に、軍国の重務を老将黄滾に託し、太姫に出征を告げて出陣する。紂王三十年三月二十四日、六十万の大軍が西岐を発つ。
伯夷・叔齊の諫言
- 燕山を経て首陽山にさしかかったところ、伯夷・叔斉の二人が道を塞ぎ、武王・子牙に問答を挑む。二人は「臣は君の悪を暴かず、諫めるにとどめるべきだ」「以下伐上は忠にあらず」と説き、出兵を思いとどまるよう諫める。
- 子牙は紂王の悪政と民の窮状、天命が周にあることを説いて反論し、押し通ろうとする。伯夷・叔斉は馬前に跪いて轡を取り、「父死して葬らず兵を起こすは孝にあらず、臣が君を伐つは忠にあらず」と重ねて諫めるが、子牙は「天下の義士」として害さぬよう左右に命じ、道を開かせて進軍する。後日、伯夷・叔斉は周の禄を恥じて首陽山に隠れ、薇を採って生き、ついに餓死する(後日談として言及されるのみ)。
金雞嶺での魏賁の帰順
- 進軍中、金雞嶺で正体不明の軍勢に阻まれる。先鋒の南宮适が出て一騎討ちとなるが、相手の魏賁に生け捕りにされ、命は取らず放免されて帰陣する。
- 子牙は初戦の不覚を怒り南宮适を斬ろうとするが、魏賁が「刀下留人」と呼びかけて自ら周軍への帰順を申し出る。魏賁は子牙の威儀と仁徳に感服したと述べ、南宮适の助命も願い出る。子牙はこれを容れ、魏賁を左哨先鋒に任じ、南宮适は陣中に留め置かれる。
孔宣、詔を受け出征
- 汜水関の韓栄は張山の敗死と洪錦の帰順を朝歌に報告する。紂王は激怒し、中大夫飛廉の推薦により三山関の孔宣に征伐の全権を与える詔を発する。
- 孔宣は十万の兵を率いて出征し、途中韓栄と合流。金雞嶺で周軍がすでに至っていることを知り、嶺上に布陣して行く手を阻む。