封神演義第一回 紂王、女媧宮に参拝する (紂王女媧宮進香)
(詩:盤古開闢から夏の桀王滅亡・殷の成湯建国を経て紂王に至るまでの歴史を詠み、太公望の出現と武王による殷討伐、封神の由来を予告する古風一首)
殷王朝の由来
成湯は黄帝の後裔で、賢臣伊尹の補佐を得て夏の桀王を討ち、天下を治めて商(殷)を興した。以後、太甲から帝乙に至る歴代の王名が列挙され、帝乙の三子のうち末子の壽王(紂王)が太子に立てられた経緯が語られる。飛雲閣の梁が崩れた際、壽王が怪力でこれを支えたことが評価され、太師聞仲・武成王黄飛虎らに支えられて即位し、紂王として朝歌に都した。紂王七年、北海の諸侯袁福通らが反乱を起こし、聞仲が北征に赴いた。
紂王、女媧宮に参拝
ある朝議で首相商容が、翌日が女媧娘娘の聖誕(三月十五日)であることを奏上し、天下安泰を祈るため参拝するよう進言した。女媧は天を補った上古の女神であるとの由来が語られる。紂王は許可し、翌日文武百官を伴い女媧宮へ赴いた。
紂王、不敬の詩を残す
参拝の折、突風で帳が翻り女媧の神像の美しい容貌が現れた。紂王はこれに邪な思いを起こし、筆を取って神像を賛美するふりをした艶めいた詩を宮殿の壁に書きつけた。首相商容は聖なる神への不敬であるとして水で消すよう諫めたが、紂王は聞き入れず、自らの筆跡を後世に残すのだと言って朝歌へ引き上げた。文武百官は不安を覚えたが誰も異を唱えられなかった。
女媧、紂王の不敬に怒る
祭礼から戻った女媧娘娘は壁の詩を見て激怒し、無道な紂王への報いとして殷の命運を終わらせることを決意する。折しも紂王の二子・殷郊と殷洪の頭上に瑞光が立ち昇るのを見て、まだ紂王に二十八年の運があることを悟り、ひとまず矛を収めた。
女媧、三妖に密命を下す
女媧は宝葫蘆から「招妖旛」を出して天下の妖魔を呼び集め、軒轅墳の千年狐狸精・九頭雉鶏精・玉石琵琶精の三妖だけを留めた。殷の命運は尽き周に天命が移ることを告げ、三妖に宮中に潜んで紂王の心を惑わすよう命じ、武王の殷討伐を助ければ正果を得られると約束した。三妖は謝辞して姿を消した。
紂王、美女選抜を思い立つ
参拝後、紂王は女媧の美貌が忘れられず政務も手につかなくなる。寵臣の費仲を召し、後宮に意にかなう女がいないと嘆くと、費仲は四方の諸侯に命じて美女を献上させるよう勧めた。紂王は喜び、翌日詔を出すことにした。