経歴と死の予兆
- 端の弟の裕、字は仁友。若くして孝悌をもって州里に聞こえた。弱冠で丞相参軍事となった。当時、京兆の韋夐は自由気ままな生き方をし世事に関わらなかった。裕はその恬静さを慕い、しばしば酒肴を持参して終日語り合った。夐は従孫の娘を裕に嫁がせた。裕はかつて親友に「大丈夫たる者、聖明の世に生まれながら文武の用が世に知られなければ、栖遑としても徒に労苦するだけだ。韋居士のように丘壑にも市朝にも属さず怡然として道を守り、栄辱に囚われない生き方こそ楽しいものだ」と語った。
- かつて夐の邸宅に宿った際、庭に井戸があり、夜に人が手を引こうとしたように感じて後ずさりしたところ井戸に落ちた。周囲の者が助け出し「あなたが夐に殺されるのではと心配したが無事でよかった、この杯を飲み干すように」と勧めると、裕は「井戸に落ちたのは小事に過ぎない、まさにこれ以上のことが起きるだろう」と答えた。理由を問われると「最近見た夢で両楹(死の予兆とされる夢占い)の憂いを恐れている」と語った。まもなく没し、文人が多く誄を作った。周文帝もこれを深く惜しみ洛州刺史を追贈した。