吳子應變第五

  • 要旨: 武侯の様々な想定質問に呉起が答える形で、混乱時の統制、寡兵で衆を撃つ法、険阻・谷間・水中・雨中など特殊な地形・天候での対処、奇襲された際の対応、城を落とした後の民心の扱いなどを具体的に論じる。

混乱時の統制

  • 車馬も将兵も優れていても敵に遭遇して隊列が乱れた場合、昼は旌旗、夜は金鼓・笳笛を号令の基準とし、指示に従わぬ者は誅すべきとする。この威が徹底すれば、どんな強敵にも堅陣にも対抗できるとする。

寡兵で衆を撃つ法

  • 敵が多く自軍が少ない場合、平坦な地では避け、隘路で迎え撃つべきとする。「一で十を撃つには隘路、十で百を撃つには険地、千で万を撃つには阻地が最善」とし、少数でも隘路で鉦鼓を鳴らせば大軍も動揺すると説く。

五軍に分けて強敵を撃つ策

  • 険阻な地に拠り堅く守る大軍に対しては、千乗万騎を五軍に分けて別々の道から当たらせ、敵を惑わせる策を説く。間諜を送って敵の出方をうかがい、応じなければ使者を斬り書を焼いて開戦、勝っても深追いせず、負ければ速やかに退く。偽って敗走を装い、前後から挟撃する策も述べる。

追い詰められた際の対処

  • 敵に迫られて退路がなく自軍が動揺している場合、味方が多ければ分散して当たり、少なければ密集して隙なく戦い続けるべきとする。

谿谷・険阻地での遭遇戦

  • 丘陵・林谷・深山・大沢で敵に遭遇したら速やかに立ち去るのが基本だが、突然の遭遇では鼓譟して勢いよく攻め、弓弩を進めつつ射て虜にし、敵の乱れを見て迷わず撃つべきとする。

狭隘地での戦(谷戦)

  • 両側が高山で狭い地で敵に遭遇し、進退に窮した場合を「谷戦」と呼び、精鋭を選んで前面に立たせ、車騎を四方に隠して敵を威嚇し、旌旗を掲げて山外へ誘い出し、休ませずに挑発すべきとする。

水上での戦(水戦)

  • 大水の沢で車騎が動かせない場合を「水戦」と呼び、車騎を用いず岸辺に留まり、高所から水情を偵察して広狭・深浅を把握してから奇策を用いるべきとする。敵が渡河する際は半渡を狙って迫るべきとする。

長雨の中での対処

  • 長雨で馬や車が動かず四面から敵に囲まれた場合、車は湿地を避け乾いた高地を選び、強い車を走らせるべきとする。敵が動けばその跡を追うべきとする。

略奪への対処

  • 突然の賊が田野を荒らし牛羊を奪う場合、その強さを警戒してまず守りを固め、賊が退く際の重い荷と不安な心理を見計らって速やかに追撃すべきとする。

落城後の民心への配慮

  • 城を攻め落とした後は、住居に入っても俸禄・器物を扱うにとどめ、木を伐らず家を壊さず穀物を奪わず家畜を殺さず蓄えを焼かず、民に残虐の意図がないことを示し、降伏を願う者は許して安んずるべきとする。