- 要旨: 信度国は仏法を篤く信じる国で、烏波毱多阿羅漢ゆかりの聖跡が多く、独特の風俗を持つ牧畜民の存在を記す。
地理と風俗
- 周囲七千余里、大都城(毘苫婆補羅)は周囲三十余里、麦を豊富に産し、金・銀・鍮石、一峰ラクダなどの家畜、赤・白・黒の塩を産するとする。
- 人々は剛烈で実直、争いを好み中傷しがちだが、学問はあまり好まず仏法を篤く信じるとする。
- 伽藍数百か所、僧徒万余人が小乗正量部を学ぶが多くは怠惰とされ、少数の精勤な者は山林に籠って聖果を得るとする。
- 天祠三十余か所に異教徒が雑居し、王は戍陀羅種で仏法を敬うとする。
- 釈迦がかつてこの国を訪れたため無憂王が数十の仏塔を建て、烏波毱多阿羅漢もしばしばこの国で教化を行い、多くの聖跡が残るとする。
独特の風俗を持つ集団
- 信度河沿いの沼沢地に住む数百千戸の人々は、気性が荒く殺生を専らとし、男女ともに髪を剃り袈裟をまとって僧侶のような姿をしながら俗事に従事するという特異な風習を持つとする。
- その由来として、かつて羅漢が残忍な風習を持つこの地の民を神通力で教化し三帰依戒を授けて殺生を止めさせたが、時代を経て戒律の実質は失われ、外見だけが習慣として子孫に残ったという経緯を記す。