大唐西域記秣羅矩咤國

  • 要旨: 秣羅矩咤国は南端の海に面した国で、香木の産地である秣剌耶山と、観自在菩薩の聖地布呾落迦山を擁すると記す。

地理と現状

  • 周囲五千余里、大都城は周囲四十余里、土地は塩気を帯びやせているが海の珍宝が集まるとする。
  • 気候は暑く人々は色黒で気性が激しく、正邪双方を崇め、学芸より利益を追うとする。
  • 伽藍の跡は多いが現存するものは少なく僧徒もわずか、天祠数百か所に裸形の外道が多いとする。
  • 城東の無憂王の弟が建てた故伽藍と、無憂王建立の仏塔(釈迦が説法し神通を現した場所)があるとする。

秣剌耶山

  • 国南の海沿いの秣剌耶山には白檀・栴檀の香木があり、盛夏に高所から遠望して大蛇が巻き付く木を見分け、冬に伐採するという採取法を記す。
  • 羯布羅香樹(樟脳の木)の乾燥した木理から龍脳香(雲母状の結晶)が取れるとする。

布呾落迦山

  • 秣剌耶山東の布呾落迦山は険しい山で、山頂の池から流れ出る大河が山を二十周して南海に注ぐとし、池のほとりの石造りの宮殿に観自在菩薩が住むと伝える。
  • 命がけで登山し菩薩を求める者は多いが、達成できる者は少なく、麓の住民の祈願には自在天や外道の姿で応えることもあるとする。
  • この山の東北の海辺の城から、南海の僧伽羅国(スリランカ)へ渡る航路があると記す。