大唐西域記序一

  • 要旨: 序文は、玄奘の西域求法の意義と『大唐西域記』編纂の経緯を述べ、天竺の由来の古さと唐の威徳が及ぶ広大さを称える。

天竺の由来と中国からの隔絶

  • 天竺は古来聖賢の往来する国であったが、中国の史書(『山海経』『王会篇』など)にはその記録がなく、張騫(博望侯)の西域探検も及ばなかったとする。
  • 後漢の蔡愔・摂摩騰による仏法伝来(洛陽への経典・仏像の請来)以降も、政治の混乱(宦官の専横、外戚の乱、南北朝の分裂)によって西方の実情は十分に知られなかったとする。
  • 隋の統一後も西方への関心はあったが、実地の記録は乏しかったとする。

唐の威徳と玄奘の生涯

  • 唐が天下を統一し、その威徳が遠方にまで及んだことを称え、異民族も帰服したとする。
  • 玄奘は幼少より仏法を志し、祇園精舎・鹿野苑を慕う心を抱いていたとし、貞観三年(629年)に旅立ったとする。
  • 幾多の険難を冒しつつ諸国を巡り、経論の真相を探求し、貞観十九年(645年)正月に長安に帰還、経論六百五十七部を持ち帰り、勅命により翻訳に従事したとする。

記録の範囲と成立

  • 実際に訪れた国が百十国、伝聞による国が二十八国に及ぶとし、それぞれの物産・風土・習俗の違いを、国の記録や古老の伝えに基づいてまとめたとする。
  • こうして成った記録が『大唐西域記』全十二巻であり、秘書著作佐郎の敬播がこれに序を付したとする。